理事長岩井です。
黒澤明監督、仲代達也主演の「影武者」、名作ですね。
この映画の海外版のエグゼクティブプロデューサーは、フランシス・コッポラとジョージ・ルーカスというのを見るとどれだけ凄い映画かわかります。
仲代達也主演ですが、最初は勝新太郎が主演するはずだったってご存知でした?
私は、昨年11月19日のNHKBSプレミアム「アナザーストーリーズ 運命の分岐点」の「天才激突! 黒澤明VS勝新太郎」ではじめて知りました。
今回、改めて降板劇を氣質視点から見てみました。
基本氣質で2人の関係性を見ると火(-)のキャンドルの黒澤明が土(+)山の勝新太郎を助ける関係ですし、陰陽の関係でもピタッとはまる、いい関係と言えます。
個人の中にある五行のバランスを見てみると
黒澤監督は五行揃ったキャンドルさんで、ご自身の基本氣質である火よりも自分の想いを伝えて、しっかり結果を出す土に2つあります。
ご自身が描いたものを確実に実現させるためのこだわりが強いのもここからかもしれません。
勝新太郎は、基本氣質である土に星が3つありますので、土の良い点も悪い点も出やすい、ある意味頑固なところがあると言えます。
特に夢・ビジョンの木と利他的な情の火が出にくい状態なので、自分がワクワクすることをしっかりした形にしたいという想いがつよくなる傾向はあるかもしれません。
2人の関係性で表に出やすかったのは土の部分。お互いに「いいものを作る」という成果に対する意識は同意していたかもしれませんが、黒澤監督が皆にとっての利他的視点からだったのに比べ、勝新太郎は「自分にとって」という視点になっていたことが決定的な違いだったのかもしれません。
実際、この交番劇を近くて見ていたスタッフによると、勝新太郎は、武田信玄の影武者役に指名されたことが嬉しかったらしく、共演女優を推奨したり、自分の大量の写真を黒澤監督に送って、作品を作るときの参考にして欲しいと言ったとか。
最初は、黒澤監督も苦笑いをしていたものの、勝新太郎が監督の指示を無視し、自分がやりたいようにセリフ言い回しをすることにイライラ感をつのらせていったらしい。
そして1979年7月18日、決定的な事件が起きます。
勝新太郎が、自分の演技を確認したいので現場でビデオを回したいと言い、他のスタッフが止めるのも聞かず、黒澤監督に直談判をしたらしい。
そして、黒澤監督が「断る!そんなことされだんじゃ気が散ってしょうがない。あんたは自分の役に集中していればそれでいいんだ。余計なことはするんじゃない!」と雷(スタッフに言わせると普通サイズ)を落としたところ、それに腹を立てた勝新太郎が衣装を解いてしまう。
最終的に、
「俺はこういう役者だから、こんな気分では芝居はできない」という勝新太郎に対し、黒澤監督は「それなら、勝君には辞めてもらうしかないな」と言って振り返ることもなく去っていったそうです。
交代劇が起こった1979年7月18日は火(+)太陽の日、木0、火2、土3、金1、水0の日でした。上記に示した2人の関係で一番強い土に3つ足されることさらに星が足されることで、どっちが主導権を取るかになってしまったのかもしれません。
最初、基本優しくて場がぎくしゃくすることで一番つらい思いをする黒澤監督が下手に出ていて、怒った後もスタッフに勝新太郎のフォローにいかせていたそうです。
ただ、「このまま勝新太郎を残したら、現場が混乱させる、よくない」と判断していたところはあります。
でも、優しいキャンドルさんは自分から「辞めろ」とは言いだしにくいので、勝新太郎が「このままでは演技できない」と言ったが最終勧告の引き金になったように感じます。
そして、勝新太郎も監督に言われて引くに引けなくなってしまったのではないでしょうか?
リーダー中のリーダーの山さん、自分から頭を下げるのがむずかしかったようです。でも、勝新太郎の中にもこの降板は、後悔が残っていたようにも感じます。
ちなみに、勝新太郎の後を引き継いだ仲代達也は、木(-)の草花さん。
仲代達也の木が黒澤監督の火を助ける関係であり、陰同士だったのと、6つの星のバランスも2人とも同じような傾向があることから監督はやりやすかったのではないか、と想像できます。
また、元々仲代達也は次の作品の「乱」でも主演が決まっていて、事前に黒澤組での撮影について勝新太郎に助言を求めたところ「黒澤監督の言う事に逆らってはいけない」と言われたらしい。
結果的に、映画「影武者」は大成功。
第33回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞しています。
もし勝新太郎が、山の強いリーダーシップの部分をぐっとこらえて、黒澤明監督の言うとおりに演技をしていたら、どんな映画になったのでしょうね。
幻の「影武者」に思いを馳せます。
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